にこにこと笑ふて叩く西瓜哉 玉壷2008年08月14日 05時45分42秒

長生きをしたいと喋る生身魂

迎火の焚かるるなかを帰宅かな

二日目に入る木槿のこと思ひ

開き切る底紅に底なかりけり

南風晴海通りを吹き抜けり

人間の糞に触つた蝿止まる

テーブルの下に飛ぶ蚊は足を刺す

筒状のワンピース着て雲の峰

茄子カレー茄子をたくさん入れにけり

魂祭一日前や西瓜来る

いなづまや野の人もどる後より 之房2008年08月10日 06時39分12秒

冷蔵庫開ける回数減しけり

黒鳥の羽抜けて白き羽の見ゆ

夕焼になれず輝かさるる雲

夏夕べ空に昼間の月残る

球磨川の鮎と氷の届きけり

盆用意秋葉原まで来て済ます

思ひ出す遠蜩のありがたさ

花咲けり南瓜畑の葉の中に

水中りして死ぬ人をまだ知らず

忘恩の夏鶯を聞きにけり

秋来ぬと合点のいたる嚔哉 蕪村2008年08月07日 05時55分22秒

田の草を抜いて道路へ投げにけり

炎天に残る痕跡雲の峰

仙人掌の同じ形に育ちけり

薄紙に包まれ胡蝶蘭見えず

開花期を野牡丹更に伸ばしけり

降る雨に強さ増したる草いきれ

四国から旱のメール届きけり

四人家族の母のみが日傘かな

水無月のペットボトルにおまけかな

夕凪の大川端を歩きけり

我に来てとまりさう也かんこ鳥 蓼太2008年08月03日 07時17分03秒

鳴き声はひぐらしが良し夏の暮

飯喰うて忘れてしまふ黒日傘

緑陰に厭かずに野口英世かな

炎天に賛美歌うたひ飯貰ふ

ひぐらしの声鈴の音と褒めにけり

蜆蝶どくだみの葉に止りをり

きりぎりすを四十五年振りに聞く

背の高きモンゴロイドの裸足かな

楠公に日傘集まるお昼かな

雲なしの日向や夏の甲子園

抱籠や誰に倦(あか)れて払(はらひ)もの 召波2008年07月28日 06時05分47秒

餌撒けば鯉に揉まれて亀鼈

鼈の顔はスッポン日の盛

大群の真鯉に混ざる緋鯉かな

餌撒けば見知らぬ鯉の入りけり

空中に大きく開ける鯉の口

死ぬ話扇子を使ひながらかな

真夏日を忘れぬために脚伸ばす

蜻蛉の動きを乱す銀やんま

目は母似鼻は父似や遠花火

日盛や小川の中に水一筋