兀(はげ)山や何に隠れて雉の声 蕪村2008年03月01日 09時07分44秒

正確に言へばおおいぬふぐりかな

啓蟄や大臣の来て挨拶す

桃の中一人づつゐる桃太郎

ほつとけば木の芽からでる花と葉と

春寒の毛布を取ればモデルさん

春空に畝を認めて歩きけり

袂無く袖はありけり梅の園

陽炎や粗末なものを大事にす

ラーメンのやうに春雨食べにけり

夏蜜柑思へば唾液溢れけり

様々と説草臥てねはんかな 孤桐2008年03月02日 07時37分53秒

春の雲たまには龍の腹のやう

風吹いてゐるか呉春の屏風絵に

囲みをるケースの中の涅槃像

梅を見て横から観音菩薩かな

皿の絵に駱駝と人やよなぐもり

梅咲いた東京芸大美術館

触りみる博物館の馬酔木かな

新坂や中学校の梅満開

囀りを流す駅舎や電車来る

百七十一番の観音菩薩かな

辛い物なくて雛の料理哉 固有2008年03月03日 05時58分25秒

三月や時間が無いと母絶叫

蛇穴を出づ蛇の穴空か

鹿児島県出水市から鶴帰る

行雁や京浜東北線抜かる

蟻穴を出づ兵隊蟻を先に出し

一合で酒収まらず雛祭

雛段の狭し雛の肘当る

隼の新丸ビルにとまりけり

飯蛸はもつと大きな蛸と言ふ

漉餡の鶯餅を買ひにけり

風の日は人にもつるる柳かな 一笑2008年03月04日 06時21分21秒

畑焼の煙は北へ漂へり

鳥帰る北の海まで着いて行く

雛の日やペコちゃん焼の餡はチョコ

雛の日の細き花束桃の花

白鳥に餌やる鴎寄つて来る

丸ビルの灯ればチョコを食べたしよ

暖かな黄砂交じりの雨に濡れ

雛壇の高さに雛眼を回す

雪煙遠き斜面の雪崩から

雛祭祝ふインドの料理かな

梢から折ては落す柳かな 太祇2008年03月05日 06時23分16秒

口開けて春の日差しを飲み込みぬ

剪定の屑を袋に詰めてをり

春来るやビルは壁から壊されし

柱までビル壊される遲日かな

春の雨降りし証拠を残しけり

雨降らぬ春の予報を信じけり

見えねども杉の花粉の眼に入る

睦月から如月になるカレンダー

下萌の中に三人庭師かな

上に乗りたがるは春の雄の鳩