水も皆人に馴行すずみかな 古橋2008年06月16日 05時35分10秒

崖下にいろいろと咲く夏来る

夏椿モノレールから見降ろしぬ

金魚死す毎日墓を建ててをり

父の日や父にはならず父は亡し

ベランダにベランダらしき茂り置く

足立区の湿地に葭と葭切と

夏服を買つて入れたる紙袋

緑陰にゴスペル歌ふ誘ひかな

夏服やサンドウィッチを食べてをり

自動ドアから騒音と冷気逃げ

裸にて黙礼おかし門すずみ 孤桐2008年06月17日 00時14分39秒

夏至のあとゆつくりと夜が延びる

若竹のみんな同じ太さかな

木耳や白木耳を干しにけり

羽抜鳥にはとりの他鴉かな

本来の河幅示す梅雨出水

真っ黒な桜の実なら食へるかも

山開して川開花火揚げ

黒黴のタイルの目地を這ひ回る

裏庭に柿の花降り掃かれけり

九州の名残蛍の群舞なり

たつ鳥の水動して又すずし 桃山2008年06月18日 06時20分01秒

豚ちまき包む蓮の葉五月闇

蓮の花用無くて鈴鳴らしけり

使つては棄てる割箸南風

吊革に指ぶら下げて夏の宵

菖蒲田に水辺の草の生えてをり

ざりがにの釣られて家で飼はれけり

短夜の陸奥襲ふ震度六

割箸にアイスキャンデー付いてをり

青梅を落として梅酒漬けにけり

一年中白玉を売るたつきかな

一番に風をほめたる座敷かな 水翁2008年06月20日 05時21分37秒

割箸の無様に割れて夏の月

水が鮎連れ来て魚簗に残し置く

緑陰の他炎天のベンチかな

蝉の穴潰れて跡を残しけり

バスガイド黄色の旗を炎天に

家蜘蛛の座敷の壁を降りにけり

焼酎に蝮漬けられ異臭かな

球磨川の奥尺鮎のすなどられ

大岩魚歯のみ光らせ泳ぎをり

緑陰に外国人が入り来る

うく魚の影は底行清水かな 几董2008年06月21日 06時07分21秒

幌畳みオープンカーに戻りけり

一つ巣に口ばかりなる燕の子

人界になかなか見れず鴉の子

葉を取られ藜の杖になりにけり

水盤にむかつくものは入れぬなり

充分に大きな家の端居かな

蝿の付く蝿取リボン人の付く

食べて良し見て良し源五郎ぬらり

水草の花は流れのなかにあり

紫陽花の葉に二つ星天道虫