のどけさや津々浦々のおもはるる 白雄2008年05月01日 07時29分21秒

ゴールデンウィーク蠅の横歩き

中庭に大声の人蟻徘徊

藤棚の中に差込む昼日差し

四五本の武蔵鐙を庭に植う

白牡丹寺の門徒の休憩所

立泳ぎ頭濡らさぬやうにかな

はつなつの濁り流の神田川

春と夏交じりあふたる春の暮

蛸の脚八本までや春の行く

草抜いてそのままにする四月尽

永き日や鶏はついばみ犬は寝る 白雄2008年05月02日 06時24分35秒

ひこばえの太く育つて花楓

柿若葉より柔らかき若葉かな

流鏑馬の矢は当つても外れても

対角に鶴亀のゐる大漁旗

看板の字のかすれ様青嵐

昭和から平成かけて泥鰌鍋

中庭の池の金魚は機敏なる

佃から舟漕ぎだせる松の花

万緑や江戸時代から埋立地

楓の実なるや飛行を繰返す

行はるや夜の錦のほつれより 嘯山2008年05月03日 05時58分16秒

植物は酸素を出しぬ祭笛

佇んでゐる赤鬼のバルコニー

竹の秋町から村へ移りけり

烏の巣跡形も無し若葉かな

卯月野を濡らして雨のやみにけり

菖蒲湯の気泡離れず壊れざる

ネクタイの斜めの線や走梅雨

ためらひは無駄が多しよ花菖蒲

新しき枝に青葉と若葉かな

街路樹の楠若葉して徒歩で行く

春惜しむ宿やあふみの置火燵 蕪村2008年05月04日 17時32分29秒

藤棚の下のベンチに座りけり

藤棚の上を藤の木這ひまはる

葉桜や文明堂の窓磨く

駅前の歌姫に人桐の花

ぬかるみに筵敷きけり走り梅雨

風吹いて上下に揺るる芥子の花

定刻に来るバス哀れ花水木

椎の花天井高きバス走る

菖蒲湯や霜降橋にバス止る

街灯に梯子を掛けて鯉幟

きぬにては寒いぞけふの更衣 不呆2008年05月05日 05時54分36秒

短夜の明け切る前に目の覚める

サーモンエッグサンドや椎若葉

めまとひの指に止るや吹いてやる

夏富士に天狗は鼻を忘れけり

青葉潮パンダは天寿まつたうす

曇天のろくぐわつ四谷三丁目

菖蒲湯の熱し新宿三丁目

代掻や機械が水に入るばかり

アルゼンチンタンゴを踊る端午かな

冬物と夏物混ざる箪笥かな